相続手続き解説 その2

その1ではとにかく急ぐ内容について解説しました。
期間は短いのでパニックになりやすいですが、医療機関や葬儀屋さんなどと連携して進めていくことが多いので、どんな手続きがあるかある程度の知識でもあると落ち着いて挑む事ができると思います。
さて、急場が落ち付いたら今度は遺産相続の手続きをする必要があります。
知らずに進めると思わぬトラブルの原因になってしまうこともありますので、首尾よく進めるには事前の知識が必須になってきます。

目次

遺産相続の流れ

それでは、先ずは遺産相続の流れについて説明します。
ここを理解しておくと、今後の必要書類についても理解しやすく、また、自分が何をやっているかもわかると思いますので、進捗を把握するのに役に立つと思います。

相続財産の調査

始めに手を付けておくべきなのが、相続財産の調査です。
これには現金はもちろん、金融機関の預金や、金融商品(株や証券など)、車や故人名義の不動産関係など、基本的には全ての財産が含まれます。
見落としがちなのは、負債関係で、借金やローン、未払の費用や税金の滞納などマイナスの財産です。
相続する場合、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も引き継ぎます。一応、限定相続という方法もありますが、原則として、プラスの財産のみを引き継ぐことは出来ません。

相続財産を一部でも使用してしまうと、相続したこととみなされてしまい、後に多額の負債が発覚したとしても放棄できず、相続財産として負担しなければならなくなります。
そんな事態に陥らないように、少なくともマイナスの財産については入念に確認するようにしてください。
ちなみに前回、相続人の預金を凍結前に引き出すのをお勧めしなかった理由もここにあります。

相続人の調査

これも優先して取り掛かる事をお勧めします。
この相続人調査は、予定外の事態が起きやすく、想定以上に時間を取られてしまう可能性がありますので、可能であれば、遺産調査と同時進行するくらいが望ましいです。

遺産分割協議

相続財産の全容と相続人が確定したら、いよいよ(?)個別具体的な相続手続きに入っていきますが、相続財産の分割方法には2種類ありますので、先ずはそれについて簡単に説明します。

法定相続分

1つ目が法定相続分と言われる、法律で定められた割合で相続する方法です。
この方法は予備的なものと考えておいた方がよいです。
と言うのも、場合によっては物凄く複雑化して手が付けられなくなってしまう可能性があるからなのですが、それを説明するにはかなりの長文になりそうなので、具体的には別の機会にお話しすることにして、ここでは割愛します。

協議分割

もう一つの方法が協議分割です。
これは、相続人全員で、分割内容を決める方法で、基本的にはこの方法を採用する事をお勧めします。
分割内容は基本的に自由ですので、全員の合意のもとであれば公平である必要もありません。
ここでどうしても皆が納得できる方法がない場合は、先の法定相続分による分割を検討することになります。

遺産分割協議の開催

さて、協議分割をする場合、相続人の全員参加で遺産分割協議を開催します。
協議の開催と言っても大げさなものではなく、日々の話合いの延長のような形でも大丈夫です。
また、合意が取れるのであれば必ず全員が出席しておらずとも問題ありませんが、後で相続人間でトラブルにならないように、意思疎通と内容の共有はしっかりと行ってください。

遺産分割協議書の作成

分割協議がまとまったら、次に遺産分割協議書を作成します。
これは分割内容について相続人全員が合意している事を証明する書面で、この書面が無ければ後に続く相続手続きを進める事ができません。具体的な作成方法などについては別途説明しますが、金融機関の口座名義変更や、不動産登記の際にも必要な書類になります。
ちなみに、相続人が一人しかいない場合や、法定相続割合にて分割する場合は協議書の作成は必要ありませんが、相続人間での仲が良くない場合など、後で揉める可能性がある場合は証拠書類として作成しておいてもよいと思います。

各相続手続きへ

協議書の作製が終わったら、金融機関の口座の処理や、不動産があればその登記手続きなどに移っていきます。
遺産相続として相続人全員で進める必要があるのは協議書作成までとなりますので、分割内容次第ではこれで相続手続きが終わる方もいると思います。
相続手続きは終了の届出や手続きが必要なことではありませんので、不動産を相続した方は不動産の登記が終わり次第、銀行口座を名義変更で引き継ぐ場合はその手続きが終わり次第、単純に現金のみを相続される場合はそれを受け取り次第で、相続手続きは終了することになります。
頻度は低いですが、相続税が掛かる場合は、相続税の終了までは相続の完全な終了にはならないので、その場合は注意しておいてください。

まとめ

相続の流れについては以上になります。
文章にするとそんなに時間かかりそうにないと思われるかも知れませんが、実際は一つ一つの内容が結構、時間を必要とします。特に、相続人の確定については、非常に面倒な問題が隠れいてることがあり、内容次第では数カ月かかる場合もあります。相続は発生後、3カ月以内に放棄するかどうかの決断をしなければなりません。なので、マイナス財産の調査と相続人調査は出来るだけ早く取り掛かるべきです。
万が一、3カ月でまとまらない可能性があるときは、家庭裁判所に届出する事で放棄の猶予をもらうことも出来ますが、それにはそれでデメリットもあります。
故人に早く安心してもらえるように、可能なかぎり手際よく進めるようにしたいですね。

では、改めて流れをまとめておきます。

相続の基本的な流れ

①相続財産の調査
  とにかく負債の有無については見落しが無いように入念にチェックしてください。

②相続人調査と確定
  予定外の事態が発覚する事があり、想定以上に時間がかかる場合もあります。
  不測の事態に直面したら、無理をせず、専門家へ相談するようにしてください。

③遺産分割協議と協議書の作製
  どうしてもまとまらない場合は、法定相続分での分配を検討してください。
  そこにも異論が尽きない場合、調停にかけることも出来ますので、その時は最寄りの弁護士へ相談してください。

④それぞれの相続手続きへ
  分割協議の内容に従って、それぞれが必要な手続きを完了させてください。
  相続税が発生する場合や、準確定申告の手続きが必要な場合は、税理士に相談してください。
  (準確定申告とは:亡くなった方が働いていて所得を得ていた場合、年度末から死亡日までの所得税を確定申告する必要があります。)

今回は相続の全体像把握の為に大まかな流れを説明しました。
いま取り掛かっている作業が全体のどの部分に該当するのかを把握出来れば、完了までのおおよその期間を予想する事ができたり、次に何をしなければならないかを考える指標にもなると思います。
いざと言うときにパニックにならないよう、事前準備しておけるといいと思います。

次回は今回の流れに沿って、具体的になにをしていくかについて、掘り下げていこうと思います。

ではまた!

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