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日本が観光立国に進んだ理由

昨今、いわゆるオーバーツーリズム問題で日本国内の有名観光地で実害が表だってきています。
日本人として看過出来ない事態であるにも関わらず、なぜ歯止めが利かないのか…?
先日、基礎控除と給与所得控除についての記事を書いているとき、漠然と思い当たった事があったので今回はそれを形にしてみたいと思います。

目次

観光立国推進基本法

先ずは日本が本格的に観光立国を目指すこととなった法的根拠について。
平成18年に「観光立国推進基本法」というのが議員立法によって成立しました。(議員立法というのは、国会議員が制定する法律ですが、国会議員は国民が選挙によって選出した代表であり、議員立法は国民の意向を反映しやすいものとされています。)
で、知らなかったのですが、実はこの観光立国推進基本法の前身となる「観光基本法」というのがあったようです。ただし、観光庁の記載を見る限り、この「観光基本法」の全部を改正したものが「観光立国推進基本法」となるようですので、内容的にはまったく別物になっているといえるのだと思います。
こちらから観光庁の該当ページへリンクを貼っておきますので気になる方は確認してみてください。
⇒観光庁:観光立国推進基本法

20年に渡る大規模な構想

日本が観光立国を目指すというのは、先の法律よりもさらに3年前、平成15年に 当時の総理大臣、小泉純一郎氏が「観光立国懇談会」を主宰した事からスタートしたことになっていますので、実に20年以上前からの構想だったことがわかります。そして、令和5年に「観光立国推進基本計画」が閣議決定されており、今なお整備、継続中のプロジェクトといえます。

観光立国推進基本法の前文

法律の前文とは、その法律の目的や主旨となる事柄について書かれている部分です。
以下、観光立国推進基本法の前文です。

観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その持続的な発展は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとする我らの理想とするところである。また、観光は、地域経済の活性化、雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するものであることに加え、国際相互理解を増進するものである。 我らは、このような使命を有する観光が、今後、我が国において世界に例を見ない水準の少子高齢社会の到来と本格的な国際交流の進展が見込まれる中で、地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を促進し、我が国固有の文化、歴史等に関する理解を深めるものとしてその意義を一層高めるとともに、豊かな国民生活の実現と国際社会における名誉ある地位の確立に極めて重要な役割を担っていくものと確信する。 しかるに、現状をみるに、観光がその使命を果たすことができる観光立国の実現に向けた環境の整備は、いまだ不十分な状態である。また、国民のゆとりと安らぎを求める志向の高まり等を背景とした観光旅行者の需要の高度化、少人数による観光旅行の増加等観光旅行の形態の多様化、観光分野における国際競争の一層の激化等の近年の観光をめぐる諸情勢の著しい変化への的確な対応は、十分に行われていない。これに加え、我が国を来訪する外国人観光旅客数等の状況も、国際社会において我が国の占める地位にふさわしいものとはなっていない。 これらに適切に対処し、地域において国際競争力の高い魅力ある観光地を形成するとともに、観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成、国際観光の振興を図ること等により、観光立国を実現することは、二十一世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な重要課題である。 ここに、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

長いですね(笑)という訳でマーカーを引いてみました。(赤は現状では裏目になってるなぁと思った部分です)
要約すると、「観光を通じえて民間レベルでの国際的な交友関係を深め、インバウンドによる経済発展を期待し、国民が観光資源やその歴史に触れる事で日本という国に誇りをもっていく」といった感じですね。

目的は悪くなさそうなのに…

他の法律でも言える事ですが、目的は悪いものには見えず、上手くいけば良い効果が期待出来たと思います。
けれど、現実は赤のマーカー部分に疑問を持つように、裏目に出ていると言わざるを得ません。
それでもなぜ、観光立国を進めるのか?

国そのものが貧困化している!?

ここからが本題。(あくまでも一般的な見解に基づいた視点で、真偽不明なアレやコレの議論はひとまず置いておきます。)
基礎控除と給与所得控除についての記事の最後の方で触れた通り、国内に経済的な余裕がないのだとすると、実害が出始めているにも関わらず、なぜ政府は観光客を歓迎しようとするのかが納得出来るように思えてきます。

国民からの税金が限界に達している

まだ記憶に新しい道路陥没のニュースしかり、物価高騰による賃上げの甲斐ない実質賃金の下落しかり。
皆さんも実感している通り、日本の経済はほとんど壊滅しており、これ以上、税金を課せられたら冗談抜きで生活できない。というか、現時点でもなんとか日々を凌いでいるだけで、いつショートしてもおかしくない方も大勢いると思います。それでも政府は国の運営の為にお金が必要。今の税収が過去最高を更新といいつつも、それでもまだ足りないといっています。
国民からの税金は限界。でも国の運営資金は足りない。ではどうするか?

国内が無理なら国外から持ってくるしかない

国内からこれ以上捻出出来ないなら、国外から集めるしかない!
良いか悪いかは別として、それも一つの打開案と言えます。
例えば、国内に出回っているお金の総量が1000万だとします。それに対して、国民の生活込みで国の運営に2000万必要となったらば、不足分は外から集めてくるしかない。という考え方。
外から集める方法としては、輸出を増やすのも一つの方法。けれど、輸出は国家間の取引である以上、輸入もしなければならない上、輸出企業以外は直接の恩恵を受けられない。
「そうだ!観光だ!観光なら民間に直接お金が回る!取引ではないから駆け引きも不要!妙案だ!」
となっても無理はない。しかも今は円安。海外からの観光客は日本への旅行は安く、逆に日本では割高な値段設定で売上げの見込みにくいものでも海外の観光客には許容範囲だったりするので、余計に推進したくなるのも当然といえる訳です。

もう手遅れかもだけど

国内で足りない部分を国外からの観光で賄おうとするこの考え、結果論ですが、現状では失敗していると言わざるを得ません。観光を通じた友好的な関係の期待は、文化の違いによってむしろ交友関係は悪化し、期待していた経済効果は多少はあれどもまだ足りず。唯一、日本人の誇りについてのみ、観光客との対比で浮彫になってきたといえる程度。
流石にこのまま推し進めても期待していた効果は得られないのではと思います。
観光に頼るのは、既存の観光資源を活用していくので、対策としては即効性があり、取り組みやすいものであるのは間違いないですが、せめて、それと同時進行で別の分野の育成、拡大にも取り組んでいくべきだっただろうと思います。

海外からお金を集める方法は他にもある

観光や輸出業以外でも、今は海外からお金を集める事が可能な世の中です。しかも民間企業どころか個人レベルでも成しうるレベルで。
政策としてIT関連サービス、アニメや漫画といったコンテンツ産業、他にも色々とあると思いますが、そういった部分にも積極的に投資をして成長を促し、国外にアピールしていけば…。
(いや、アニメや漫画は今でも国外からの評価は高いですが、それに携わる人の待遇が悪すぎる…。)
分からないですが、少なくとも観光だけに頼って打開できる状態ではないのは現実。

もう手遅れかも知れませんが、諦めて困窮の内に終わるよりは、わずかでも可能性があるのならば頑張ってみるのも悪くないかなと思います。国のかじ取りを一般国民一人で決めることは出来ませんが、自分の方向性くらいは自分で決められる。それこそ、国内での収入が頭打ちであれば、海外に目を向けてみるのは良い事のように思います。

と、国がインバウンドを進める理由について、考察(といえるか?)してみましたが、いかがでしたでしょうか。
少なくとも、経済効果がそれなりにあるのは間違いない事実なのでしょうし、オーバーツーリズムに対しては国も色々と考えてはいるようですので、個人レベルでも出来る範囲で解決に取り組んでいきたいものですね。
それではまた!

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