夏の参議院選挙も近づいてきました。
今回の争点の一つは間違いなく減税の是非についてになると思っていますが、賛否両論ありますよね。
と、いう訳で、減税の障害の一つである財政問題、その一角であるPB黒字化について考えてみました。
PB黒字化とは?
PB黒字化とは何か?まずは簡単におさらいします。
PBとは?
PBとはプライマリーバランスの略ですが、プライマリーバランスとは財政のバランスの事です。
つまり、PB黒字化とは財政の収支を黒字化するということ。
財政の収入のメインは税金であり、支出は社会保障費や公共事業費などの公的支出の事。
今の日本では社会保障費が増大している為、メイン収入である税金を限界まで引き上げて、支出を極力抑えている状態です。
日本国民の現金総資産額
内閣府経済社会総合研究所の2023年の年次推計をみると、日本の総資産は約1京3,200兆をこえています。
そして日本銀行によると、その内、家計の金融資産残高は2230兆円(2024年)。
これは不動産や金融資産も含めた数字である為、さらに現金、預金のみに限定すると約1113兆円。
桁が大きすぎてイメージし難いですが、すごい金額である事はお分かりいただけるかと。
国債の残高
では次に国債の残高。
2024年末時点で1323兆円超え。
これもかなり大きな金額ですね…。
問題視されるのもわかる気がします。
黒字化するには
PB黒字化するには、単純に国債の利払いを上回る収支(残高が減っていく状態)と、且つ収入が支出を上回る状態にすることになる訳ですが、これ、先ほどの数字を見ると不可能な事がわかると思います。
国債残高を無くすには
どれくらいの期間を持って残高を返済するかにもよりますが、仮に財政収支が±ゼロだとすると、国民の現金資産から税金を徴収して国債を返済したならば、2230兆円引く1323兆円。(金融資産はすぐに現金化できるものではないので、計算にいれない事とします。)
残額は約900兆円となります。
完済できます!やった!
…とはならないのです。
国民一人当たりの残高
日本国民を20歳以上の1億人で計算するとします。
1兆は1億の1万倍なので、900兆は一人当たりに換算すると約900万円。
さらに、これに経済格差も考慮するとなると、マイナスになる人も出てくるでしょう。
財政収支が±ゼロとは
では、ここで仮定の設定、「財政収支が±ゼロ」を考えてみます。
財政収支が財政支出を同じと言うことは、個人で考えると家計の収支が±ゼロという事になります。
つまり、お金が増えない状態。
それを政府が実現した場合、経済成長が0と言うこと。
もちろん、対外国的な要因もあるので、必ずしも0ではないでしょうが。
無理です…
一人当たり900万と言うのは、平均した額。
もう少し具体的に考えると、日本の裕福層は約165万世帯。その資産額は469兆円。
469兆円全てが現金資産と言うことはあり得ないと思いますし、そのレベルの方は運用資産が大きいと想定されるので、現金・預金資産を1/3の約156兆円とすると、先ほどの一人当たりの金額は更に減って約750万程度になります。
これでは随分前に老後に必要とされた2000万にすら遠く及ばないです。
まとめ
以上、財政を黒字化されたらほとんどの日本人は生活できなくなってしまいます。
財政黒字化して問題ない状態にするには、人口を減らすしかないのでは?
単純計算で今の1/3くらいに…。そうすればかろうじて2000万には届きます。
おまけ
ここまでのお話、実は一般的に言われている「国の借金は国民の借金」といわれる考えの根底にある考え方。
実際に国民が借金している訳ではないのですが、国の収入が税金の徴収にある以上、このような理論は成立するとも言えます。だから借金をこれ以上、増やさないようにしようね!という訳。
だがしかし!
実際の国債はその半分が日銀が保有しています。
更に、ごくわずかではありますが、日本人も保有しています。
と言うことは、実際に税金で国民が負担する可能性があるのはその半分以下になるはずです。
そして、国債が発行されなければ、極論、国内でお金が増えません。
(厳密には日銀が毎年お金を発行しているので、少しずつ増えては行きますが。)
おまけ2
そもそも、国債を国の借金とするのは、帳簿上、国債の仕訳がお金でしか消せない仕様だからだと思っています。
国債の仕訳をお金以外で経理処理出来ればいいのでは?
例えば、国内の色々な商品、物資の生産量を金額換算して、「国債をこれだけ発行した結果として、これだけの生産量を獲得できた」という形で計上できたならば、国債の増加の一部は生産力の増加とみなすことができ、借金ではなく、国力の増加と捉える事が可能では?
などと考えてみたりします。
経済の専門家ではないので、詳しくはわかりませんが、いずれにせよ、国債を国の借金と考えているうちはPB黒字化はもちろん、景気の回復も叶わないんじゃないかなぁ~、などと思案してみたりしています。
ではまた!
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