消費税の正体を考察! 第一回

いよいよ消費減税、消費税撤廃の世論が強くなってきた今日この頃。
しかし、よくよく考えてみると消費税について知らない事が沢山あるな、と。
今後、消費税の撤廃があるのかどうかはわかりませんが、一度、真面目に考えてみるのも悪くない。
そんな訳で、消費税の正体について調べてみた結果と私なりの見解をまとめてみたいと思います。

目次

消費税とは?

消費税についての私の認識は、何かを購入した際に課されている税金であり、他の税同様に強制徴収されていて回避は出来ない。という程度。
先ずはここから深堀してみたいと思います。

消費税は間接税?それとも直接税?

さて、先ほどの私の認識であれば、消費税は間接税のように見えます。
実際、商品には税込み価格と税抜価格が記載されて、購入時は税込み価格を支払う事になります。そして、売主はその税額分を清算して税金として納めています。
つまり、消費者から購入時に税金として預かっている、という概念が成立し、それゆえに一般的に間接税と認識されているのは疑いのない事です。
でも話はそんなに簡単ではありません。
インボイス制度が導入されて以降、度々話題になる非課税事業者の存在があります。
消費税が間接税であれば、非課税事業者は消費税を価格に乗せてはいけないはずで、間接税の性質を考えれば消費者側も消費税込みの価格で購入する必要はないはずです。
現実には色々と複雑な事情があるようですので、ここでは定義の部分のみをテーマに考えていきます。

消費税についての判例

界隈では有名な話ですが、過去、この非課税事業者に対して「支払った消費税をピンハネしている!」と裁判に訴えた人がいました。間接税の定義からすれば、この方の主張はごもっともな事で、非課税事業者である私の立場でも賛同してしまいます。ところが、興味深い事にその判決は次のようなものでした。

「…消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」(東京地裁平成2年3月26日判決より)

重要な部分にマーカーを引いてみました。
先ず、赤のマーカー部分についてですが、これは言い換えれば購入時に支払われる消費税は、その段階では税ではなく、「商品価格の一部である」という事。
次に黄色のマーカー部分、「納付義務は消費者との関係で負うものではない」と、言うことは、言い換えれば事業者が納付する消費税は、事業者自身が売上げに対して消費税率分を負担して支払う義務がある、ということで、これは直接税の性質です。
ここで間接税と直接税について、その定義を改めて確認してみることにします。

間接税

”税める負担するなるものを「間接税」といいます。”これは国税庁のサイトからの引用ですが、消費者が負担して、販売者が支払うという、私の認識している消費税の図式と合致しています。

直接税

める負担する税金を「直接税」といい、”前後が逆になってしまいましたが、これも国税庁のサイトからの引用です。この、「負担者と納税者が同じ」という部分は、「事業者が売上げに対して課税されて納付している」という見方をすれば判例の立場として成立してしまいます。

他にも色々な税金についての記載がありますので、リンクを貼っておきます。
ご興味がありましたら確認してみてください。 ⇒国税庁「税の仕組み」

国税庁と財務省の見解

さて、私を含めた多くの方は「消費税は間接税」と認識しているのに対し、裁判所の判決では「消費税は直接税」との認識。これではどちらが正しいのかわからなくなってきますが、日本が法治国家である事を考えれば、裁判所の判決を正しいとするべきです。
それに対して国税庁や財務省の認識が気になったので確認してみました。
結論は「消費税は間接税」の立場です。国税庁は先のページに記載がありましたので、今度は財務省のサイトから引用してみます。
こちらもリンクを貼っておきますので気になる方はご確認ください。⇒財務省「消費税を知ろう」

事業者を納税義務者として、その売上げに対して課税されます。また、税の累積を排除するために、事業者は、売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除し、その差額を納付することとされています。
事業者に課される消費税相当額は、コストとして販売価格に織り込まれ、最終的には消費者が負担することが予定されています。
(「直接税」と呼ばれる所得税などに対し、このように納税義務者と実質負担者が異なる税を「間接税と呼びます。)

面白くなってきました。
なんと、国税庁と財務省ともに「消費税は間接税」との立場に立っているものの、その定義が微妙に違います。
財務省の定義では、「納税義務者は事業者であり、その売上げに対して課税(赤マーカー部)」とあり、これは裁判所の見解と同じです。これに対して、国税庁は「納める人と負担する人が違う」と定義していましたよね。
揚げ足取りのように見えますが、待ってください。その証拠も説明します。
その前に黄色マーカー部についても見てみましょう。
財務省の見解としては、これまた裁判所と同じ。「消費税は販売コスト」つまり、私たちが支払っているのは、税そのものではなく、税額分をコストとして転嫁した金額と言っています。
では、財務省と国税庁の定義が微妙に違うと判断した理由と、揚げ足取りではない証拠いついて説明しますね。
緑マーカー部分をご覧ください。
「納税義務者と実質負担者が異なる」とあります。
これが意味する事は、「消費者は消費税の納税義務者ではない」ということであり、言い換えれば「消費者は消費税を負担する義務はない」ということ。なぜなら納税義務がないのですから。
これに対して、国税庁は「負担者が異なる」と定義していますので、国税庁の立場としては、「消費者が負担、それを事業者が預かって納付」と言っているのです。

立場によって定義が食い違っている理由とは?

それではいよいよ今回の話も大詰めとなりました(笑)
ここから今回のまとめも兼ねて考察していきます。
まずは立場によって消費税の定義が食い違っている事について考えてみました。
これも結論から言えば、「消費税を間接税と認識させたいから」ではないかと思います。しかし、間接税とするのであれば、裁判所の判決が邪魔になります。判決の定義は直接税なのです。
ですが、ここがまた興味深い部分で、実は、判決では「消費税は直接税」と明言している訳ではないのです。
そこで、財務省は定義として次の一文を付したのだと思われます。

「最終的には消費者が負担することが予定されています。」

この一文を付すことで、裁判所の見解を用いたままで消費税を間接税として定義つけたのでしょう。
国税庁はそれをもっと簡略化した形で「負担者と納税者が違う」としたのでしょうが、これも失敗です。
なぜなら、元々、消費税を間接税という認識でいた私のような人間からすると、国税庁の見解は何も間違っていないように見え、その為、財務省の定義が「おかしい」という認識を生じさせてしまうから。

悪意のある切り取りでは?

国税庁が一般的な言葉そのままの認識で間接税を定義していたのであれば、財務省との定義が違うことになり問題ですが、仮に簡略化する名目でこのような言葉を用いていたとすれば、それは大問題です。
意図していないのであれば、読み手に誤認させるような表記は即刻、修正すべきですし、もしも誤認を意図していたとすれば、それこそ悪意のある切り抜き動画と同じではないでしょうか。

そして最大の墓穴が!

では、国税庁が悪意なく簡略化しただけで、誤認させると言っても財務省の定義と照合すれば、読み手が認識を修正するのは容易いから修正していないと仮定します。それならば国税庁の表現に非はないと言えなくもないです。
ですが、最大の墓穴がありました(笑)
それが財務省の定義の先の一文。
(くどいようですが、本当に感心するのと同じくらいに呆れてしまったのでもう一度引用します。)

「最終的には消費者が負担することが予定されています。」

よくよく考えてみると、この定義、何も消費税に限った事ではありません。
事業者の納める税金や経費の全ては原価として厳密には消費者が負担しています。
「事業者の税金は経費を引いた利益に掛かっている」のですが、その利益も元を辿れば消費者の支払いであり、消費税同様、販売時には税の性質を持たない金額の一部なのです。
つまり、この定義を当てはめると、法人税や所得税、各種保険料も間接税ということになります。(便宜上、保険料もここでは税と扱っています。)でも実際は法人税や所得税は直接税として定義されています。
この一文を付さなければ裁判所の判決に従う形で間接税の定義が出来なかったのだと思いますが、この一文の為に間接税の定義が破綻してしまったのです。

今回の結論

はい、消費税は直接税です(笑)
私はそう結論づけました。
元々間接税と認識していましたので、今回の結果には驚きでした。
といっても、途中からは「これもう直接税じゃね?」と思ってましたが(笑)
実は今回、直接税か間接税かはどちらでもよくて、両方の意見について調べてみようと思っていただけだったのですが、ここまで無理やりに間接税と定義したいのかと、考えると、やはり、消費税の正体は直接税と考えるべきでしょう。直接税だと都合が悪いから無理やりにでも間接税にしたいのでしょうから。
まさかこんな事を国がやっていたとは。。まぁ、官僚も人間ですから仕方ないのかも知れませんね。

さて、念の為断っておきますが、消費税を直接税と結論つけたのは私個人の見解です。それが正しい理解かどうかは別として、社会一般的にも税法上も間接税とされていますので、現状では間接税としての扱いをしなければいけません。
皆さんも私同様、「直接税だ」との結論に至ったとして、その主張をするのは問題ありませんが、くれぐれも違反はしないようにお願いします。
(違法なのはどちらだよ!って言いたい気持ちではありますが…)

長文になりましたが、皆さまの考察の一助となれば幸いです。
また、第二回以降は、直接税の立場に立って考えていこうと思いますので、ご了承ください。

ではまた!

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