第一回目では消費税が間接税か直接税かについて深堀してみました。
結果が気になる方は第一回をごらんください。
という訳で、今回は実際に国内での仕組みの概要を参照に検証してみます。
消費税の仕組み(表)
まずは消費税の仕組みについてパターン別に考えてみます。
登場人物は次の設定で進めていきますね。
Aさん 材料屋さん
Bさん 加工屋さん
Cさん 消費者
パターン① 理想的な運用
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
値段は税別100円(税込み110円)。
そしてBさんが作った商品をCさんが購入してくれました。
値段は税別200円(税込み220円)。
この時、BさんはCさんから20円の消費税を受け取っています。
また、材料を購入する時にAさんに10円、消費税として払っています。
そこで、Cさんから受け取った20円と、既にAさんに支払っている10円を差引して、10円を消費税として納めることになります。この場合、AさんとBさんがそれぞれ支払った消費税の10円は実質的にはCさんが負担しているように見えますね。
これが一般的な消費税の認識とも言えます。
パターン② より現実的な状況
次はもう少し現実にありそうな状況を考えてみます。
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
今回は2つ生産したいので、値段は税別100円(税込み110円)の材料を2つ分購入します。
Bさんの支払った金額は110円×2で220円で、そのうち、20円が消費税分です。
そしてBさんが作った商品をCさんが1つだけ購入してくれました。
値段は税別200円(税込み220円)で、Bさんが手にした金額は220円です。
この時、BさんはCさんから20円の消費税を受け取っています。
また、材料を購入する時にAさんに20円、消費税として払っています。
そこで、Cさんから受け取った20円と、既にAさんに支払っている20円を差引すると、差額は0円です。
その為、今回、Bさんは消費税を納付する必要はありませんでした。
この場合も、Aさんが支払う20円はBさんがCさんから受け取った金額の税額相当分としての20円なので、実質的にはCさんが負担しているように見えます。
パターン③ 売れなかった…
次はBさんには好ましくない状況ですが、商品が売れなかった場合を見てます。
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
今回も2つ生産したいので、値段は税別100円(税込み110円)の材料を2つ分購入します。
Bさんの支払った金額は110円×2で220円で、そのうち、20円が消費税分です。
しかし、Bさんが作った商品は1つも売れず、廃棄処分となってしまいました。
値段は税別200円(税込み220円)ですが、1つも売れませんでしたので、Bさんが手にした金額は0円です。
この時、BさんはAさんに20円の消費税を既に支払っています。
けれど、売上げがなかった為、手にした金額は0円です。
そこで、既にAさんに支払っている20円を差引すると、差額はマイナス20円です。
その為、今回もBさんは消費税を納付する必要はありません。
しかし、今回はAさんが支払う20円を負担しているのはCさんではなく、Bさん。
消費税は最終的に消費者が負担する予定なので、本来は20円の消費税はBさんに返却される必要があります。
けれど、現実はBさんが負担したまま、いわば払い損のような状態になってしまいます。
これを無理やり正当化するならば、今回のBさんの立場は、商品が売れなかった時点で材料の消費者とみなす事になります。
⇒調べた結果、原則課税の場合は還付申請が出来るようです。(誤情報、申し訳ありません)
消費税の間接税としての側面
パターン①から③でみてきたように、消費税は消費者が税額分を負担して、AさんやBさんが納付しています。
これが間接税としての消費税の仕組みです。
では、この③つのパターンを別の側面から見てみましょう。
消費税の仕組み(裏)…
③つのパターンの設定は同じで、<別の視点>以降の部分が別側面からの考え方です。
パターン①
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
値段は税別100円(税込み110円)。
そしてBさんが作った商品をCさんが購入してくれました。
値段は税別200円(税込み220円)。
この時、BさんはCさんから20円の消費税を受け取っています。
また、材料を購入する時にAさんに10円、消費税として払っています。
<別の視点>
Aさんが支払う消費税10円は、Aさんが販売した材料、100円に対して課されたものですが、
Bさんが支払う消費税も同様、商品の販売価格220円から原価の110円を差し引いた売り上げ100円に対して課されたものと考えることができます。
また、この時、材料の購入費は税込み110円がコストになっている点に注目です。
この場合も、Aさん、Bさんともに10円の消費税を納めることになります。
パターン②
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
今回は2つ生産したいので、値段は税別100円(税込み110円)の材料を2つ分購入します。
Bさんの支払った金額は110円×2で220円で、そのうち、20円が消費税分です。
そしてBさんが作った商品をCさんが1つだけ購入してくれました。
値段は税別200円(税込み220円)で、Bさんが手にした金額は220円です。
この時、BさんはCさんから20円の消費税を受け取っています。
また、材料を購入する時にAさんに20円、消費税として払っています。
<別の視点>
Aさんは売上げ200円に対して課された20円を支払う必要があります。
Bさんは仕入れコストに220円かかっていて、売上げも220円です。つまり、利益は0円の為、これに掛かる消費税も0円で、納付する必要はありません。
この時、Bさんの商品2つ分に対して、1つ分の利益が相殺されている点に注目です。
この場合も、Aさんが支払う額は20円で、Bさんが支払う額は0円です。
パターン③
Bさんは商品を作る為にAさんから材料を購入しました。
今回も2つ生産したいので、値段は税別100円(税込み110円)の材料を2つ分購入します。
Bさんの支払った金額は110円×2で220円で、そのうち、20円が消費税分です。
しかし、Bさんが作った商品は1つも売れず、廃棄処分となってしまいました。
値段は税別200円(税込み220円)ですが、1つも売れませんでしたので、Bさんが手にした金額は0円です。
この時、BさんはAさんに20円の消費税を既に支払っています。
けれど、売上げがなかった為、手にした金額は0円です。
<別の視点>
Aさんは売上げ200円に対して課された20円を支払う必要があります。
Bさんは売れなかった為、売上げも利益も0円です。
(Bさんの材料原価を考えるとマイナスになりますが、現実は利益0円以下の税金は0として扱われます)
その為、今回もBさんは消費税を納付する必要はありません。
利益が0で税金がかかっていない点に注目です。
表と裏の違い
3つのパータンの表と裏を比較すると、納める税額は同じですが、基準が違う事がわかります。
表は一般的な消費税のイメージそのまま、間接税としての消費税。
裏は利益を基準として販売者に課される直接税の考え方です。
明確に違うのはパターン③です。
間接税の定義では、本来はマイナス差額は還付されるべきですが、実際は還付されていません。 ⇒条件を満たせば還付申請できる。
直接税の定義では、そもそも販売者の利益に課せられるので、利益0で納付0というのは何もおかしくないです。
そして、裏の考え方は総じて、購入時の消費税額分をコストとして計算している点では、第一回目でも紹介した裁判所の見解と一致します。
まとめ
今回の検証からも消費税は直接税として扱っていくべきではないかとの結論になりました。
いよいよ持って消費税を間接税とする必要性について疑問に思います。
と、言う訳で、次回は消費税を間接税とする理由について考えてみたいと思います。
そして今回も念のため。
消費税は間接税です。この記事を読んで「消費税は直接税」と考えられたとしても、現実の消費税の取り扱いが間接税である以上、それに適した対応をお願いします。
ではまた!
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