第一回、第二回と消費税の定義やザックリした仕組みについて考えてきました。
その上で、どうしても間接税とは思えない仕組みになっているのに、何故、わざわざ間接税としているのか疑問です。
そこで、今回は消費税を直接税にしたくない理由を考えてみたいと思います。
間接税の定義
まずは間接税について財務省の定義をおさらいしておきます。
事業者を納税義務者として、その売上げに対して課税されます。また、税の累積を排除するために、事業者は、売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除し、その差額を納付することとされています。
事業者に課される消費税相当額は、コストとして販売価格に織り込まれ、最終的には消費者が負担することが予定されています。
(「直接税」と呼ばれる所得税などに対し、このように納税義務者と実質負担者が異なる税を「間接税」と呼びます。)
…改めて読み直すととんでもない事実に気づきました。
この文面、赤マーカーの部分だけ見ると事業者の売上げに課される税金で、納税義務者も事業者、つまり直接税です。
そして黄色マーカーの部分、ここで「相当額は消費者に請求してね」と言っている訳です。
これ、赤マーカーだけみると事業者からものすごい反発がありますよね…。
だから隠れ蓑のして消費者に請求させて、「実質的には事業者に負担はないですよ。」と言いたいのでは?
そう考えると、間接税でなければ都合が悪い。と、言うか、辻褄が合わないだけなのでは?
消費税の用途
なんだか先の理由だけでお腹いっぱいな気分ですが、もう少し掘り下げてみたいと思います。
消費税法 第1条 2
では消費税の用途はどのように定められているか、消費税法から引用します。
消費税法 第一章
第一条
1(省略)
2 消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。
「地方交付税法の定めるところ」とは簡単に言うと、地方公共団体の公共事業等に使用する事を目的に国が各都道府県に交付する、地方公共団体の運営資金です。つまり、「消費税は社会福祉関係の費用に充てます」と法律に記載されています。
財源としての妥当性
確かに、この用途であれば消費税を財源とすることに妥当性はありそうです。
であれば、間接税と扱われる事についても妥当性が見いだせそうです。
地方公共団体への交付金にしろ、社会保障関連費にしろ、誰もがいつかはお世話になる事が予想されますので、それならば、皆が公平に負担しましょう。と言われれば反論できないように思えます。
もちろん、同じ割合でも手元に残る金額は所得によって全然違ってきますので、ある意味では不公平とも言えますが。
何故、分かりにくくするのか?
ここで一つ疑問が残ります。
消費税が社会福祉関係費の財源であることはわかりましたが、何故、消費税として徴収するのでしょうか。
年金にしても、社会保障費にせよ、すでに該当する項目で納税しています。
おそらく、不足する部分に臨機応変に対応する為のまとまったストックとしておきたいということなのでしょうが、それなら元から各々多めに徴収しておいて、所得税の確定申告と同じように年末で調整する方が簡単なような気がします。実際に簡単かどうかはわかりませんが。
わかりにくい事のデメリット
不足補填用にまとまった財源を確保しておきたいのはわからなくもないですが、複雑な仕組みを取り入れると、どこかで不正があるのでは?と勘ぐってしまうのが人情です。
消費税の件でいえば、本当に社会福祉費用に使われているのか?と疑念に駆られてしまいます。
疑念を晴らすべく、消費税の用途報告書のような物を探してみましたが、私の力不足で見つけられませんでした。
代わりに、財務省のサイトで以下の一文を見つけました。
社会保障4経費の合計額には足りていません。
つまり、年金など個別の賦課金に消費税を足してもまだ社会福祉等の必要費として足りていないということのようです。
消費税が間接税である理由
ここまでの結論から導き出されるのは、消費税の用途的に納税者の一部に負担させるべきではないが、便宜上、事業者を経由して納付してもらう方が容易な為、事業者から徴収する。けれど、本来は皆が同じ割合で負担してもらいたいので、事業者は消費者からそのコストを回収してください。という事かと。
そう考えると、消費税は確かに間接税であるべき税金で、一見、直接税のような定義になっているのは、取りはぐれがないよにと考えたとすれば辻褄もあいます。「消費者から回収しなくても事業者に納付義務は課しますよ」となれば、消費者から回収しようとするでしょうし、仮に回収しない事業者がいたとしても、その分は事業者に負担させて回収する訳です。
それでも第二回で仮定したパターン③の場面では納得出来ないですが、それも間接税として皆に負担させたいから、という大義名分があれば容認されると考えたのかも知れません。
まとめ
今回は消費税が間接税として扱われる理由について考えてみました。
確かに、順序たてて考えれば納得できます。
但し、これは第二回で仮定した3つのパターンを基に考えた国内での話です。
実際は輸出、輸入もありますので、次回はその辺りについて考えてみたいと思います。
特に、輸出については還付金制度があり、黒い噂もありますので(笑)
それでは今回はこの辺りで。また次回もお楽しみいただければ幸いです。
ではまた!
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