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業務のデジタル化で社会の変化に備える 第三回

前回は無駄の削減に偏った内容になってしまったので、今回は無理と斑について考えていこうと思います。
この2点は無駄の削減に比べて作業者からの理解を得るのが難しい部分でもありますので、慎重に進めていただきたいと思います。

目次

作業者はロボットではない

改めて強調する事ではないですが、作業者は生身の人間でロボットではありません。
これが無理、斑が発生する大きな原因です。ロボットでも無理や斑はある、という意見もあるかも知れませんが、それは人間の持つ無理、斑とは別種の物ですので、ここでは除外させていただきます。
人間である以上、その日の体調や気分によって多かれ少なかれパフォーマンスに影響がでます。そしてこれを無くするというのは基本的に不可能です。

不安定な要素を排除していく

では無理や斑をなくするとはどういうことか?
それは不安定な要素を排除していく事です。
人的要因にかかわる要素は人間が作業する以上、取り除くことは出来ません。ですので、それ以外の部分の不安定な要素を排除していく必要があります。
例えば、作業に使用する工具が老朽化していて、動作が安定しないのであれば早急に修理する、もしくは新調する。工程設計に問題があり、一部の工程を担当する作業者に過度な負担が発生しているようであれば、工程の再設計に取り組む。物理的に不可能な納期を長時間の残業で無理やり対応する。適正価格と乖離した低価格での依頼を受ける。
その他にも色々と思い当たる部分はあると思います。
納期や価格については直接、不安定な要素と判断できないかも知れませんが、短納期受注は営業計画が不安定な証拠にもなりますし、価格についても低価格で受けざるを得ない状態というのは、経営的な不安定さの要因になります。
もちろん、大口の得意先からどうしても、とお願いされて断れない事も多々あると思いますが、その場合でも工程能力の安定化に支障をきたす事は避けられないでしょう。

適正な工数を把握する

では具体的にどうやって進めていくのがよいでしょうか?
その方法の一つが「適正工数の把握」です。
各工程に必要な適正工数を把握する事で、「無理」の解消が進めやすくなります。そして、無理を無くす事で自然と生産能力は安定してきますので、斑の削減につながっていきます。
例えば、適正工数が10の作業に1.5倍の負荷をかけたとすると、オーバーした0.5の部分に無理が生じます。それを無理やり対処したとします。その場は何とか凌ぐ事が出来たとしても、次にその作業をするとき、疲れによって作業効率が落ち込む可能性があります。または、一度高付加に対処した事で一時的に生産能力が向上する可能性もあります。
どちらの場合も適正工数から算出した見込み生産量から外れてしまいます。
その結果、予定の生産量に追い付かず、次の受注にしわ寄せがいくことになったり、予定よりも早く依頼を完遂してしまい、次の受注までに空白が生まれたりと言ったことにつながります。
そして忘れてはいけないのが適正工数は短期的にブレるような数値は使えないということ。適正工数とは誰がやってもクリアでき、長期的に平準的に維持していける値が理想です。
一時的な生産能力の上下に合わせて再設定してしまうと長期的に破綻してしまうことになります。

適正工数を決めるにはどうするか

では適正工数を決めるのはどうすればよいのでしょうか。
具体的に決める方法はその作業によって違うので、ここでは割愛しますが、基本的には各工程を細分化し、その最小単位を完了するのにかかる時間の積上げによって計算します。そしてそのサンプル回数は多ければ多いほど正確な適正値に近づくといえます。
では作業者によってはどうでしょう。
Aさんは熟練していてBさんは初めての作業だったとしたら、当然、AさんとBさんのどちらを基準にするかで適正値は変わってきます。その場合はAさんを基準にしてはいけません。もちろん、初めて作業するBさんに合わせるのも適切とは言えません。この微調整は難しい部分ではありますが、Aさんの意見とBさんの意見を聞きながら、「ある程度なれた人であればこれくらい」な基準を探っていきます。
Aさんにとっては物足りないが、Bさんにとっては慣れてくれば何とかなりそう、と言った塩梅を目指します。

余裕と無駄は違うものと捉えるべき

さて、適正工数が決める際、実際に作業するのが熟練のAさんだった場合、Aさんにとっては少し物足りない感じになってしまう訳ですが、それを「無駄」と判断してノルマを引き上げるのは避けるべきです。
この場合のAさんの物足りなさは「無駄」ではなく、「余裕」です。
無駄は削減すべきですが、余裕は削減してはいけません。
その余裕がAさんの作業に対する斑を抑えることにつながっていくことになり、また、どうしても避けられない短納期に対してもその余裕があるからこそ、無理をしない範囲でこせる可能性もあるのです。

余裕を無駄にしない為に

一般的には平時の業務は生産能力の80%程度、繁忙期で100%になるくらいが良いとされています。
その差は20%でなくとも必ず確保しておくべき部分です。
それは不測の事態の際の余力になりうる部分ですが、それ以上に人材育成のために費やす必要がある為です。
私も会社員だった時代に痛感しましたが、平時で100%の生産能力、繁忙期は120%みたいな配分だと、単純に普段から全力の為、いざ、人の育成の必要に駆られた時でもその時間を割くことが出来ません。ましてや、会社単位でみた場合、自分のスキルアップなど持っての他。と言った感じです。
そんな事態に陥らない為にも、平時は余力を持たせて人材育成に取り組んでください。それは単純な個人単位のスキルアップや担当業務の熟練度アップにとどまらず、可能な範囲で他の業務との互換訓練にも費やしてください。

余裕がなければ会社は成長しない

余裕を持たせて、それを有効活用していく事で、会社全体として底力が上がっていくのですが、逆を考えれば、その余裕がなければ会社は成長しません。それどころか、長期的に見れば衰退への入り口でしかありません。現在の担当者は年齢を重ねていずれ現役を退くことになります。けれど後任が育っていない為、引き継ぎができないような事態に陥ります。(私もそうでした)
そうは言っても、そんなところにお金はかけれない、と考える方もいると思います。
ですが、あえて言うと、その考えが間違っているのです。
見積のベースは100%の生産力ではなく、平時の生産能力を基準に算出するべきだからです。これは言い換えれば、余裕部分も会社継続のコストとして考えるということになります。

脱属人化

ある作業を誰でも、ある程度はこなすことが出来る状態、これが理想です。
通常は専任作業として人員を配置しておき、何かあった際は別の作業をフォローすることが出来る。
こうしておけば、急な欠員にも対応できますし、業務的な負担なく有給消化をしてもらうことも出来ます。
その結果として、従業員の間の諍いも減りますし、職場環境の改善にもつながります。
脱属人化はどの会社でも非常に重要な課題になってきています。特に人手不足が叫ばれる中、その確保において職場環境は賃金とともに最重視される部分でもあります。

結果として会社全体の利益にもつながる

さて、いかがだったでしょうか?
無理、斑の削減は会社の経営にとって最も重要な部分に直結するものであることがわかってもらえたと思います。
前回の無駄の削減、そして今回の無理、斑の削減によって得られるのは、単純な生産性の向上だけではありません。職場全体を改善して利益を生み出す体質に変化させていくために、そして会社の継続にとって必要不可欠な取り組みなのです。
もちろん、これまで書いてきたことが全てではありません。他にも多くの改善項目があります。
けれど、それを見つけて改善していくには、やはり会社に余力は必要なのです。
そして、この余裕があればこそ、次の段階へ進める事が出来るのです。

という訳で、次回はデジタル化とその取掛かりについて考えていきたいと思います。

それではまた!

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