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業務のデジタル化で社会の変化に備える 第四回

前回まで業務効率化について具体例を織り交ぜつつ説明してきました。
読んでいただいた方は、すぐに結果は出ないかも知れませんが、すぐに取り組むことが出来るのはご理解いただけたのではないかと思います。
それでは、今回からいよいよ(?)デジタル化について考えていこうと思います。

目次

デジタル化とは、言わば準備段階

このシリーズのタイトルにも上げているデジタル化ですが、それは後続の変革に対する準備のようなものです。そういった意味合いも含め、シリーズタイトルでは「変化に備える」としている訳です。
では、デジタル化は準備でしかない、それそのものに効果はないのか、と言えばそれも違います。
デジタル化する事で各方面の所要時間の短縮が見込め、少なからず人員コストの削減につながりますので、ご安心ください。

準備段階の意味

それでは、先ずは準備段階である理由から説明していきます。
後続の変革とは、いわゆるIT化だったり、DX化だったりする訳ですが、その段階に行くには一つ、重大な課題があります。
そう、扱う情報はデジタルデータである必要があります。
最近は画像認識技術の向上によって、写真から文字を抽出したりできるようになりつつありますが、それもアナログデータからデジタルデータへの変換という作業になります。
もう少し技術が向上すればデジタル化の効率も飛躍的に向上する可能性はありますが、それでも完全に人の手を離れるところまで進むのはまだまだ先の事になりそうですし、何よりも、デジタル化の過程を経る事でその分野の仕組みや概略を知る為の予備知識が身に付くと思いますので、苦手意識を持っていたとしても、根気よく取り組んでほしいと思います。

デジタル化とIT化

第一回でも触れていますが、デジタル化とIT化は切っても切れない関係です。仮にIT化のシステムを導入したとします。その際、アナログデータしか保持していない場合、極論、まったく機能しません。
IT化したシステムはデジタルデータをベースに機能する為です。そのため、デジタル化はITシステムを導入した際、スムーズに移行できるようにするための準備と言えます。
それを踏まえた上で、どうやってデジタルデータを蓄積していけば良いかと考えてみましょう。

デジタル化の進め方

デジタル化の必要性はなんとなくわかるけど、進め方がわからない。
私が会社員時代がそんな感じでした。過去の資料は膨大でしたし、当然、紙ベースです。それに加え、日々、新しい受注、それに関する新しいデータが増えていきます。しかも、ほぼ一人でそれらをデジタル化するよう押し付けられていたので、完全にキャパオーバーでした(笑)当然、通常の業務もありましたし。。
という訳で、当時を振り返ってみて、「こうすれば良かったのか」と思う方法を紹介していこうと思います。
これは私の実体験からの方法論ですので、他にも良い方法があると思いますし、皆さんの現状に即した方法を考える際の参考程度にとどめてもらっても大丈夫です。重要なのはデジタルデータを蓄積する社内システムの構築ですので。

基準日を決める

社内データには過去、現在、未来の3種の時系列が存在します。現在までに蓄積された過去の実績データ、現在進行形の実績データ、そしてこれから受けていく未来の実績データです。
先ずはこの3種を意識して基準日を設定します。基準日とは、そこから先はすべてデジタルデータとして保管していく、とする日程です。日付まで決めてしまえればそれに越したことはないですが、移行期間も考えると、大まかに何年何月、くらいでも大丈夫だと思います。区切りとして、決算後に設定するのも良いと思います。
注意する点は、基準日まで相当の期間を設ける事です。デジタル化に向けて下準備が必要な為で、順調にいっても半年くらいは見ておいた方がよいでしょう。

基準日に向けて準備をする

基準日を決めたのであれば、次はそれに向けての準備にとりかかります。
準備が終わってから基準日を設定しても良いかも知れませんが、経験上、締め切りが無いとうまくいきません。なぜなら、従来の方法が慣れていて楽だから。仕事上、やはり納期というか、締め切りの概念は意識しなければ目の前の事を優先して後回しにしてしまいます。ですので、先ずは基準日を決めて置き、あとから調整する方が確実に進捗します。
さて、それでは基準日に向けての準備とは何をすれば良いでしょうか?

周知する

基準日を決めたら、先ずは従業員に周知しましょう。
そうする事で、従業員も基準日に向けた心の準備が出来ます。仮に、来週から全部デジタル化します、なんて言ってもおそらく誰も対応出来ないでしょう。あらかじめ基準日を伝えておくことで、スムーズに移行できる可能性が高まります。

フォーマットを整備する

次にフォーマットの準備に取り掛かります。
会議の議事録、顧客リスト、棚卸表、請求書、納品書、製造業であれば客先図面から作成する社内図面や部品表など、普段無意識で使用している紙媒体のものを可能な限り、社内様式としてフォーマットを作成します。今後の扱いやすさを考えればマイクロソフトofficeをベースにするのがお勧めですが、今はほとんど互換性があるので、準備出来ない場合はそれ以外でも構いません。
注意点はある程度、臨機応変に利用できる欄を設定しておく事です。完全に定型化させてしまってはそこから外れた物を処理できなくなってしまう為です。もちろん、例えば、顧客名や単価など、基本的な部分はきっちりと決めておいて、それ以外の特殊な事例があった際に追記しておけるような部分を設けておくということです。
そして、もう一つ重要なのが、データを保存する際のファイル名称です。
これはIT化にも必要になるので、この時点でルール化しておくと後々便利です。
名称ルールの例としては、フォーマットの分類、年月日、通し番号、みたいな感じです。
例えば図面であれば、[図面.2025.3.30.001]のような感じです。これに顧客コードなどがあればそれを付け加えたりしても良いですし、重要なのはルール化しておくことですので、それぞれの実情に合わせて決めて大丈夫です。

現在のデータで試行する

ある程度フォーマットが定まってきたら、現在進行形の作業で試行してみます。
そこで不備があれば修正し、問題なければ引き続き基準日までの期間で試行していきます。
基準日以降は基本的にはフォーマットの変更はしない方がよいので、それまでの期間で出来るだけ完璧な状態を目指します。

デジタル化への移行

準備が整ったらいよいよデジタルかへ移行します。
基準日を境に作成した社内フォーマットを使用してデータを蓄積していきます。
その際、過去データの取り扱いが問題になります。開業後、それほど年数が経っていなければ力業ですべてフォーマットに打ち換えることも出来ると思いますが、それなりに続いてきた事業所であれば、打ち換えるには膨大な手間がかかる場合もあります。
その場合は、過去のデータは放置しておく事をお勧めします。
直近、数年であればそのデータが生きる場合もありますが、10年、20年前のデータは今の実態に即していない可能性が高くなるからです。10年前の顧客データだと、もしかしたら廃業している場合もありますし、社長や担当が変わっていてもおかしくありません。なので、過去のデータは次に必要になった時に、デジタルに変換していくようにしていけばよいのです。
現在のデータも同様です。試行段階である程度デジタル化してしまえるのが理想ですが、試行段階ですべてを網羅出来ていない場合は次に必要になった時に処理していくようにします。
それを続けていけば、自然とデジタルへの置き換えが進んでいきます。

完璧を求めると失敗する

過去のデータからすべて完璧にデジタル化しようとすると失敗します。少なくとも私の場合は失敗しました。
仮に、業務改善で生まれた20%の余力で過去10年のデータをデジタル化しようと考えた場合、1日を100%としてそれを20%で追いかけることになりますので、単純に考えても50年かかってしまいます。
現実的ではないですよね。そう、デジタル化の失敗とは、移行が完了せずに頓挫してしまう事がほとんどなのです。
基準日以降を重視し、それより前のデータには固執しない。これが秘訣です。

デジタル化のメリットとデメリット

ここまでの内容、実際にやるとなるとかなり大変だと思います。
そこまでしてデジタル化するメリットはあるのでしょうか?
という訳で、最後にデジタル化することで得られるメリットとデメリットについてです。

メリット

デジタル化のメリットはデータが整理され、扱いやすくなること。それに尽きます。
整理された電子データはパソコン上で検索が容易になります。
「それだけ?」と思われるかも知れませんが、実際に活用すると想像以上に便利です。
今までは必要な書類が綴られているファイルを書庫から探してきて、欲しい箇所までページを捲っていく。
丁寧な会社ではファイルに目次をつけたり、どこにどのファイルが収納してあるかを一覧にされていたりしますが、それも割と頻繁に更新しなければならず、実はかなりの時間と労力がかかっているのです。
無理、無駄、斑をなくすのは現場作業メインの考え方になりがちですが、事務方はこういった情報の整理と扱いやすさが無理、無駄、斑の削減につながっていきます。
そして、説明不要だと思いますが、物理的なスペースの大幅な削減も魅力的の一つですよね。

デメリット

ではデメリットはどうかと言いますと、実はメリットより大きいような気もします…。
ですが、対策することは十分可能ですので、デメリットを理由にデジタル化を敬遠するのは得策ではないと思います。
デメリットで一番怖いのがデータのロスト。
なにもデジタル化したデータの話に限らず、デジタル社会の最大のネックでもあるのがデータロストの危険性。
とはいえ、これは対策も簡単で、定期的にバックアップを取る事で大部分は解消されますし、仮に次にバックアップを取るまでの期間にデータが消えるような事があった場合でも、大抵は復元可能です。
次は電力供給が必須な点。言うまでもなく、パソコンなどの電子機器は電気を動力としていますので、停電時には使えなくなってしまいます。ノートパソコンであればバッテリー内臓なのでしばらくは使えますが、それでも長時間の停電になるとバッテリーも切れてしまいます。
この対策は難しいところではありますが、実際のところ、長時間の停電になるときは何かしらの災害時くらいですので、その時は大人しく業務を中断してしまうのも良いのではないでしょうか。
最後はウイルスなどのシステムの話。さすがにハッキングまでは中々ありませんが、ウイルスの危険性は常にあります。ウイルスにしてもハッキングにしても、完全な対策は現状、不可能と言っても過言ではありません。
ですが、ウイルス対策ソフトや業務に関係のないサイトの閲覧などを制限すれば、回避できる可能性も各段に向上します。時代の流れからすると、これらを危惧するあまりデジタル化を敬遠すれば、それこそリスクとなるでしょう。

今回は実体験の反省に基づいてデジタル化を進める手順を解説してきました。
デジタル化が順調に進めば、その次にIT化を進めるのが凄く楽に、スムーズになっていきますので、ぜひ前向きに取り組んでみてもらいたいと思います。
次回はデジタル化を基にしたIT化について解説していきたいと思います。

それではまた!

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