前回は相続人調査について解説しました。
財産調査と相続人調査が終わればあと一歩です。
という訳で、今回は遺産分割協議についてお話します。
遺産分割協議とは
全体の流れの際にも触れましたが、遺産分割協議は相続人全員で誰がどの財産を相続するかを任意で決める為の制度です。極端な話、一人に全部相続してもらうことも可能です。
大きな財産を持つ資産家でなければ、揉めることは少ないと思いますが、それでも普段から疎遠の親類と話しをするのは話がまとまらない可能性もあります。そんなときは、弁護士を間に立てて調整してもらう方法、裁判所で決めてもらう方法、法定相続割合で相続する方法があります。
他に方法があるからと言っても費用や手間がかかってしまいますし、それこそ納得出来なくても受け入れざるを得ない事になりますので、出来るだけ自分たちで妥協を見つけて折り合いをつけるのが好ましいと思います。
遺産分割協議書
遺産分割協議が首尾よくまとまったならば、次は遺産分割協議書を作成します。
これを作成出来れば、後は各々が相続内容に沿って手続きをしていくことになります。
遺産分割協議書は、相続人全員が相続内容について合意していることを証明する書類となり、各種手続きに必要な場合は原本の提示が必要です。
したがって、作成の際は相続人の数だけ同じ物を作成する事になります。
また、偽造を防ぐ為、原本すべてに各相続人の実印を押印し、それぞれの印鑑証明とセットで1部と考えてください。
相続人が3人であれば、遺産分割協議書を3部作成し、それぞれに相続人が実印を押印、各々が印鑑証明を3枚用意することになります。
(相続手続きに協議書を必要としない相続人の控えは原本でなくても問題ありません。
遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書には決まった形式はありませんので、必要な情報が記載してあれば問題なく機能します。
必要な情報とは次の内容です。
① 被相続人の情報
生前最後に住んでいた住所、氏名、生年月日、死亡年月日
② 相続人全員の情報
氏名、住所、実印
③ 分割する遺産の内容とその分割内容
分割する遺産(不動産、預金、現金など)、誰が何をどれだけ相続するか
④ 相続人が分割内容に合意している旨
また、記載方法にも決まりはなく、縦書き、横書きも決まってませんので、出来るだけ少ない枚数に収まるようにまとめると良いと思います。(複数枚に渡る場合は契印が必要になります。)
法務局の登記申請時の書類サンプルを確認できます。(PDF形式)
相続登記をするときの記載例ですので、ご自身で登記まで進めようと考えている場合は参考になると思います。
3ページ目が遺産分割協議書のサンプルです。 ⇒ 記載例 (法務局)
割印は必要か?
協議書を複数部作成する場合は、割印をしておくと信ぴょう性が増します。
必ず必要な訳ではありませんが、万全を期すならば割印を押しておく方が無難だと思います。
まとめ
以上、遺産分割協議書についての解説でした。
もっと詳しく説明できれば良いのですが、必要な情報が記載されていれば特に決まった形式がないので、それぞれの事情に合わせて作成してもらう、以上に説明できる事がありませんでした(笑)
法務局では他にも法定相続情報一覧図の説明や書式なんかも掲載されていますので、困ったときは確認してみると色々と参考になると思います。
相続関係の話は人それぞれに色々な状況があると思いますが、基本的な事を押さえておけば、必要な書類や提出物についても何となく把握できるようになります。
とは言え、相続制度には複雑な仕組みがあるのも事実です。
手続解説としては今回で終わりとなりますが、今後は各制度に絞って詳しい解説をしていく予定です。
更新時期は未定ですが、参考になる内容にできるよう頑張りますので、その際はよろしくお願いします。
ではまた!
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